『君たちはどう生きるか』

君たちはどう生きるか
2023年 日本(東宝)
英語タイトル:The Boy and the Heron
フォーラム福島にて
原作/監督/脚本:宮崎駿
プロデューサー:鈴木敏夫
制作:スタジオジブリ、星野康二、宮崎吾郎、中島清文
音楽:久石譲
主題歌:米津玄師
124分
ジブリサイト
https://www.ghibli.jp/works/kimitachi/

同名タイトルで、1937年(昭和12年)に刊行された吉野源三郎著『君たちはどう生きるか』は、この映画の原作ではないが、作中で主人公に影響を与える本として、大事な役割を果たしている。

どうしてこの作品が、事前の広報活動を行わず、「ネタバレ禁止」だったのかはわからない。でも、少なくても私自身は、この作品から、「先入観をなるべく持たずにこの作品を観て、自分で考えて判断してほしい」という監督からのメッセージを、受けとった気がした。

この作品は、宮崎監督の集大成とも言える要素がたくさんあり、個性的なキャラクターや独特な世界感、思いがけない方向へ眼を向けざる得ない動きなど、いつも通りにおもしろい。ただ、今までの大作と違って、少人数の精鋭スタッフで、丁寧に創られている。

おそらく一番大切な部分は、完全に抽象化されていて、変に考察されたり、裏読みされることから、逃げ続けているんじゃないか?

…などとなにも情報がないまま、適当に書いておいたら、その後放映されたNHKのドキュメンタリーで、この作品は、高畑勲監督や鈴木敏夫プロデューサーなどとの極めて個人的な関係を描いたと、宮崎監督自体が告白。そうだったかぁ。確かに、パーソナルな匂いを感じはしたけれど、まさかそこまで身近なこととは!

そんな超個人的な要素を盛り込んだ結果、逆に普遍的な要素を持つ映画ができあがってしまう。そういうところが、宮崎監督の非凡でおそろしいところ。