なぜ、これがアートなの?
アメリア・アレナス 著
福のり子 翻訳
淡交社 刊
対話型鑑賞について
現代美術の流れを、ひとりの人間味あふれるキューレーターの目を通して、平易な言葉で説明している本。図版もきれいで、とても読みやすい。しかしそれだけに、この本での作品の見方を、鵜呑みにする人が出るかもしれません。そんな危険性はあります。
美術の見方なんて、ひとつではないのですから、自分で観て考えるのが一番。 しかし、著者のさりげなく豊かな知識にも触れながら、作品を覗くことはいい刺激にはなりました。
こういう「作家性」のある美術の本を読むことで、自分が美術に関してどうしても持ってしまっていた「枠」が、ひとつ取りのぞかれた気がするのです。
ちなみにこの本と同名の展覧会が、水戸芸術館現代美術ギャラリーでひらかれています。この本を読んで刺激を受けると、実際に作品を観たくなりました。もっと町へ出て、美術館や画廊を覗いてみようかな、という気分になれる本です。