『デトロイト美術館の至宝 印象派と近代美術の巨匠たち』

デトロイト美術館の至宝 印象派と近代美術の巨匠たち

福島県立美術館にて
2001年7月20日~9月2日

デトロイト美術館のコレクションのなかから、近代美術へ的を絞った展覧会。

印象派、後期印象派、象徴主義、エコール・ド・パリ、表現主義など、19世紀後半から20世紀前半にかけての西洋美術の流れを、作品を通して一望することができる。今では誰でも知っている巨匠の作品が並ぶので、解説はどうしても教科書的にならざるを得ないが、並べられた作品の「癖」が、この展覧会を特におもしろくしていた。

大作家の初期の作品で、後の世で評価される段階へ至る前の作品に、もうすでにその作者が持つ独特の癖がある。クリムトの初期デッサンには、もうあの退廃的な雰囲気がありますよ。うーむ、天然退廃でしたか……。

そのなかで印象的だったのは、クリスチャン・ロルフスの作品『向日葵』。実に開放的な健康さに満ちていて、この作品を「退廃芸術」とみなした社会があったことが、本当に不思議に思える。でも表現主義の作家だし、この人の作品だというだけで、退廃芸術のレッテルは貼られてしまったのかな?

ガチガチに規制を張り巡らせなければ、成り立たないような無理のある世界では、この絵のような自由さが脅威だったのかもしれない。

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