カンディンスキー展
東京国立近代美術館にて
2002年3月26日~5月26日
二十世紀前半に、抽象絵画の方向性のひとつを生み出したワシリー・カンディンスキーの展覧会。
カンディンスキーの大規模な展覧会は、日本で初めてというわけではないけれど、今回はカンディンスキーが、抽象絵画へと進んでいく過程にスポットライトを当てている。
今まであまり扱われてこなかった「不遇な」ロシア時代に触れたり、最初期のまだ独自性が出ていない頃の作品の展示もあったり。カンディンスキーの作品をひととおり観たことのある観客の方が、なおいっそう楽しめるかもしれない。
抽象絵画へ進む過程が中心の展示だからとわかってはいても、「パリ時代」の作品が一枚も観られないのはちょっと残念。
とはいえ、画面からいまにも音楽がこぼれおちてきそうな「モスクワ」シリーズや、おなじみ「コンポジション」シリーズの迫力には、やはりワクワクさせられる。
特に「コンポジション」の制作過程を示すスケッチの展示は、一見勢いで描かれたかに見える「コンポジション」シリーズが、カンディンスキーの理念に基づいてしっかり構成された作品だと、はっきりわからせてくれた。