Pina /ピナ・バウシュ 踊り続けるいのち
2011年ドイツ
監督/脚本:ヴィム・ベンダース
出演:ピナ・バウシュ、ヴッパタール舞踏団
東宝シネマズ新宿にて
昨晩、我慢できずに、ヴィム・ヴェンダース監督の3D映画『Pina』の最終回に飛び込んで鑑賞。
映画に詳しく、いつもなら鋭い批評をする論客たちが、揃いも揃って「素晴らしかった」のひと言しか残さない理由がよくわかりました。
かつて心の中に、絶望しか生まれなかった時期、埼玉までピナ・バウシュのダンスを観に行ったことを思い出します。そして本当にこの世に、誰かを助けてしまうダンスというものが、あるんだと知りました。
そのピナのダンスの映像化となれば、宝の箱を壊されてしまいそうでいやだ、と思うところですが、監督がヴェンダースだと聞いて不安は消失。
この人ならきっと、自分のためではなく、ピナのための映像を作ってくれる。映画の意匠ではなく、ダンスや音楽そのものに心を砕いてくれるに違いない。
その予感は、当っていました。むしろピナという対象への愛が深すぎて、映像からヴェンダース色が消えてしまったほど。でも音と選曲センスの方に、ヴェンダースらしさは残っていました。
東日本大震災のすぐ後、この映画を携えて、真っ先に被災地まで来たというヴェンダース。勤め先をやめてフリーになり、東京でひとりでがんばろうと決意しながら、不安定だった私の甘い心も、この映画は救ってくれました。だいぶ無理をしたけれど、観に来てよかった。