『アラブ・エクスプレス展』

『アラブ・エクスプレス展』

2012年6月16日(土)-10月28日(日)
森美術館にて
森美術館内特設リンク先

先月末、森美術館で行われた『アラブ・エクスプレス展』を、駆け込み鑑賞。ネタ的に購入したのが写真のキャンディ。

作家が米軍のイラク侵攻の後に、アメリカを旅したとき、彼がイラク人だとわかると、何人かのアメリカ人から「I’m sorry」と言われたのだとか。このキャンディは、そのときの驚きを、「I’m sorry」をネオンで囲むことで表現したというアーデル・アービティーンの作品にちなんでいる。

今までも、アラブ諸国出身の作家の作品は、単体で観たことはあった。でも、これだけ色々な国の作品を、一気に観られるのは、かなり珍しい体験。アラブ諸国とひと口で行っても、おなじみのイラン・イラク・サウジアラビアはもちろん、比較的自由なトルコ、開発バブルでどんどん景色が変わっているドバイまで、その文化、歴史的背景、近代化のレベルは、まさに多種多様。当然そこから生まれる作品も、似たものはひとつもなく、使う手法もさまざま。

悲しみを癒すためのやさしや繊細さ、造形や色彩の美しさに感動し、戒律が厳格で融通がきかないというステロタイプのアラブのイメージを打ち消してくれた展覧会ではあったのだけれど…。

親近感を抱くと同時に、東日本大震災を体験した後でもなお、紛争や戦闘が永遠と続く地域とは、決定的な違いがあるのだと感じもした。

個人的には、どんなに絶望的な状態でも、ユーモアを忘れない作品に、特に心惹かれる。先述の「I’m sorry」もそうだし、実際の戦闘中に戦闘機からまかれたビラを、ポップでキュートな画風に作りかえることで、人々の深い心の傷を塗り替えようと試みた作品や、言い訳ばかりしてちっとも作品を仕上げない美術作家についての映像など。

ちなみに「I’m sorry」キャンディーは、なかなかおいしかったです。

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