『ミーヨン写真展 「’EXISTENCE -Erigeron canadensis’」』

ミーヨン写真展 「’EXISTENCE -Erigeron canadensis’」

美延 Mi-Yeon
Gallery Mole
東京都新宿区四谷3-7

ありふれた街、コンクリートの車道。唯一舗装されていない1部分に、たくましく根をはった雑草。そこにファインダーを向けつづけることだけなら、誰にでもできるかもしれない。

しかしここに並んだモノクロームの写真1枚1枚は、普段見ている雑草の違った一面を、浮かびあがらせる。 白と黒のコントラストが強いからか、見慣れたはずの光景が、まっすぐこちらに迫ってきた。

焦点のあっている雑草は、力強く、はっきりと前へ出て、側を通る人間や車は、かなりぼやけている。あくまでも主役は、雑草の一生。しかしそこから、雑草が根をひろげた平凡な街の朝全体について、自由に想像の翼をひろげることもできる。それが、この写真の持つ力なのかもしれない。

コンクリートの狭間に芽吹いた命の力強さは、二週間ほどではかなく命を終えてしまうが、その後、ひとりの女の子が、雑草のあった場所にしゃがみこんで手を伸ばす。

最後のこの一枚の印象が、特に強かったため、命が終ってしまうさみしさよりも、これからつづいてゆくなにかを受け取った気分になった。