めぐりめぐって辿りつくもの

かなりの年齢ながら、生まれてはじめて正社員となって3年。長年に渡る社会経験不足がたたり、ボロボロのヨレヨレですが、ようやく元の生活が取り戻せてきました。

元の生活というのは、仕事をして家に帰る以外に、本を読んだり映画を観たり、美術館に足を運ぶことができる生活のことで、たぶん私にとってそれは、気づかぬうちに「ずれて」しまう自分を、もうひとつの目で見つめ直す作業なのでしょう。

友人と川村記念美術館の『マーク・ロスコ 瞑想する絵画』展に行ったあたりから、心の重しが少し取れてほっとした気分に。しかし以前のように感想を書くとなると、これはなかなか難しい。あれは書き散らしていたようで、ある程度正確な情報を集めたり、メモをきちんととって行っていたんだなと今頃気づきました。

さて、現在の仕事はといえば、一度編集から離れることになって、出版社の方に戻りました。まだ、慣れない仕事に四苦八苦しています。

この仕事もなかなかおもしろいですよ。小さな出版社だからこそ、私のような下っ端でも出版部数や表紙の決定にも携われるわけで、印刷費の見積の読み方がわかったり、紙を選んだり。ほとんどはお金との戦いなんですけど、印刷所さんの方々と話をすることで、本を作るときの編集とはまた別の見方に触れることができて、なかなか新鮮です。

とはいえ、やっぱり編集が無性にやりたくなるときはあるし、取材のチャンスもなく会社にいると、どんどん自分が世間から取り残されてしまうような気分にもなるわけですが、こういう知識を身につけられるチャンスもそうはないので、今はこの仕事に全力投球したいと思います。

「ほぼ日」の『大人の小論文講座』で読んだ、この山田ズーニーさんのお話は、かなり心の支えになりました。Lesson194 メドレーを生きたがる精神

見積とにらめっこしていると、出版の厳しい現実もよくわかります。ほとんどがお金との戦い。どうしても編集現場には、節約を強いることになって、これがどうしても心苦しい。「金は天下のまわりもの」とも言うのですがね。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です