『日本オランダ現代美術交流展「3分間の沈黙のために…:人─自然─テクノロジーの新たな対話」』

日本オランダ現代美術交流展「3分間の沈黙のために…:人─自然─テクノロジーの新たな対話」

十思スクエアにて
東京都中央区日本橋小伝馬町5-1
期間:2001年4月15日(日)~5月6日(日)
G.A.P内テキスト一覧『3分間の沈黙のために…:人─自然─テクノロジーの新たな対話』

(参加アーティスト)
有地左右一+笹岡敬小杉美穂子+安藤泰彦佐藤時啓浜田剛爾、水留周二、アネッケ・A・デ・ブーア、アネット・ファン・デ・エルゼン、クリスティアーン・ズワニッケン、ヘルマン・デ・フリース、パウル・パンハウゼン、ロブ・ム-ネン

小伝馬町の十思スクエアという小学校跡地を舞台に、日本とオランダから11組のアーティストが参加した展覧会。

近くにかつて処刑場もあった(!)というだけでなく「学校が舞台」というのは、それだけでちょっと怖く感じるもの。ともかく観る側にとっては、その舞台を意識せずに、作品だけを純粋に眺める気分にはちょっとなれない。

教室の前に目隠しのようにロッカーが並べられ、そこに窓にゆらめく旗がかすかに映っていたり、生徒の人数の分だけあいた穴から、教室の不思議な映像が覗けるたりする作品。教室の蛍光灯がランダムについたり消えたりするけれど、そのキレの良さがただごとではない作品。張りめぐらせらた紙が、作品のなかを歩く人が動かす空気を、過敏に感知する作品。ふたつの教室をまたいで、映像が重なりあう作品。さまざまな豆が敷きつめられた和室。不気味な鳥の頭が独特な動きをして、つっつかれるんじゃないかと怖くなる作品。塩がもられていたり酒樽が置いてあって、「なんだなんだ魔よけか?」というような作品。そっけないドラム缶が、音を奏でるだけなのだけれど、不思議な風情のある作品など、それぞれが教室という舞台を借りながらも、そこにとどまらない世界を、鮮やかに見せてくれた。

次の教室に、一歩足を踏み入れると、自分の五感が、あらゆるところから刺激されるのがよくわかる。学校というところが、勉強以外にも喜怒哀楽全てを含んでいたように、この展覧会を観ていると、自分をいろいろなところから試されている気分になる。

どれもこれも一筋縄ではいかない作品ばかり。そして、こんなに動いている作品が多いのに、失声症のような沈黙を感じることが実に不思議。

パフォーマンスまでを含めて、ひとつの作品展だったのだろうけれど、そちらの方はひとつも観られなかったのがちょっと残念。

帰り際、おそるおそるトイレに寄ったら、やっぱりここも古い小学校のトイレの趣きがそのまま残り、なんだか怖い。スタッフのお姉さんが、「なぜかここのドアだけ開かないんですよ…」なんて教えてくれるものだから、みんな「キャー!」となってしまい…。

印象深すぎる展覧会になりました。スタッフのお姉さん、ノリ良すぎでしょう!

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