福島県立美術館「常設展」
久々に福島県立美術館へ。
調べもせずに行ったので、企画展は残念ながらお休み。十数年ぶりに常設展を観ることにした。
中高生時代、この美術館の建物や目の前の銀杏並木、その上に広々とひろがる青空が好きだったので、作品だけでなく、美術館全体の雰囲気を感じるためにも、企画展のない日でよかったのかも(ちょっと負け惜しみ?)。
ここの常設展は、目玉がアンドリュー・ワイエス、ベン・シャーン、関根正二、斉藤清と、なかなか通好み。
若い頃は、あまりワイエスに興味がなかったけれども、年齢を重ねて色々と考え方が変わったせいか、人間味溢れる光と影のリアリズムに、すっかり魅せられてしまった。
展示されていたのは、『ガニング・ロックス』『ドイツ人の住むところ』『そよ風』『冬の水車小屋』の4点。『松ぼっくり男爵』は、どこかに貸し出し中かな?
スティーブン・キングに、『悪霊の島』というアート界隈を扱った長編ホラー小説があって、その中でワイエスについてこんな風に書かれていたことを思い出した。
「さらにアンドルー・ワイエスのある種の作品――〈クリスティーナの世界〉ではなく室内画だ。光が正常でありながらも異常な客間。絵では、光が二方向から射しているかに見える」
同じ絵ではないから全く同じではないが、やはり室内画の絵を通して、同じように「正常なようで異常な光」を愉しむことができた。キングの記述力はやっぱり正確。