MONKEY vol.12 翻訳は嫌い?
文字の多い文化系雑誌を一冊読み切るには、意外と時間がかかるもの。だからだいたいは、一部分だけ読んで、後は放っておくことになる。
でもまれに、隅から隅まで読めるという雑誌はあって、久々にそんな幸運に恵まれたのが、この「MONKEY vol.12 翻訳は嫌い? 」。SUMMER/FALL 2017とあるから、発売してからももう5年も経ってしまった。とはいえ、あえてタイムラグある読書を楽しみたいなら、紙の本を「積ん読」が一番。現代では、どんな価値のある本でも、すぐ買っておかないと、あっという間に絶版になってしまうから。
編集人の柴田元幸による『日本翻訳史 明治篇』や、翻訳に纏わる村上春樹と柴田氏の対談をはじめとして、森鷗外への愛があふれる伊藤比呂美と柴田氏の対談など、翻訳を主題とした特集はもちろん、ポール・オースターへのインタビューや、イタロ・カルヴィーノの名作『見えない都市』抄なども。
個人的に、特に印象が深かったのは、海外文学の影響色濃い石川美南の短歌一首をテーマに、アメリカの奇想天外短編の名手であるケヴィン・ブロックマイヤー氏が紡ぐあじわい深い作品『大陸漂流』や、同じくアメリカ出身の短編名手であるリディア・デイヴィスによる『ノルウェー語を学ぶ』、独特なことばのセンスを持つミュージシャン小沢健二の『日本語と英語のあいだで』。
その他、いつもならちょっと苦手意識を持っていた書き手でも、今回は楽しく読めてしまった。
そのうち、興味ある作品について、なにか書き残していきたいけれど、いつになることやら。どうせ書くなら、最新号について書けばいいのにね。我ながら、時の流れの感覚がおかしいことに呆れます。
時を経ても色褪せない魅力が詰まった一冊ですね!「積ん読」の楽しみ方も含めて共感しました。Telkom University Jakarta
aisyah様
コメントありがとうございました。
コメントをいただいた際に、通知を受け取る設定にしていなくて、気づくのが大変遅れて申し訳ありませんでした…。
「積ん読」の楽しみ方、共感していただいてうれしいです。私の場合、勝手に妄想できるから、むしろ読む前の積ん読が好きなのかもしれません。